2023年1月実施のファイナンシャルプランナー2級試験(FP協会)を受けてきました。
自己採点にて学科、実技とも合格ラインに達していることを確認しました。 2022年9月下旬に3級を受験し、4ヶ月弱という勉強時間でしたが、なんとか最短でFP2級を取得できそうです。
本記事では、参考にした書籍・講義動画、勉強して良かったこと等についてご紹介します。
おすすめ参考書
まずはテキストと問題集です。
問題集は、以下の書籍を使用しました。
問題集のイチオシポイント
- 右に問題、左に解説と、見開き1ページで完結していて使いやすい。
- 学科試験の対策がしやすい
- 1章;42問、2章;35問、3章;39問、4章;35問、5章;31問、6章;41問
- 合計223問×4択をマスターすれば、学科試験で問われる問題の大部分をカバーできる
- 持ち歩きにも負担の少ない重量
- 実技試験問題も充実しており、解き方の解説が詳しい
問題集の使い方
- 4択すべての正誤に目を通す。回答できたものは☑、回答できなかったものは□をつけることにした。※○✗をつけると紛らわしいため
- 1周目はほとんどの問題を間違える上、用語の意味が分からないため、テキストで調べながら説いていく。
- 2周目も同様に□☑をつけていく。難しい論点は、講義動画を見たりテキストを参照したりして、ポイントをメモっておく。
- 3周目に間違えたor分からなかった選択肢は、間違いノートとして別ノートに転記する。
1周目は1ヶ月半ぐらいかけて、調べながら問題を解きます。 けれどあまり時間を使いすぎると先に進めないので、まずは問題全体に目を通すことを重視しました。 わからない問題はチェックをつけておいて、サクサクと先に進んでいきます。
2周目は初見と比べるとかなりラクになりますが、それでも大部分の問題を間違えます。
挫折ポイントがあるとすれば、ここで難しい論点に出会った際にお手上げになってしまうことです。
ex.) 年金制度の細かい論点、居住用財産の譲渡特例、借地借家法など
ここに関しては、後述する講義動画などを参考にしながら乗り切りました。
3周目にかかる時期は、試験の2週間前でした。 まだ理解できていない単語が多数あったので、別ノートに転記して試験前に見直せるようにしました。 間違いノートについては、簿記2級を取得した際、試験直前に効果があったので、同じ方法を使いました。
私は試験3ヶ月前から直前まで、ずっとこの問題集を解くことに時間を使いました。 そういう意味では、勉強に際して最も活用した参考書でした。 要点などもテキストではなく問題集に記載していき、コレ一冊持ち歩けば良いように知識を一元化するようにしました。
テキストの選び方
次にテキストですが、以下の条件に適しているものをセレクトしました。
- 最新版であること ※法改正で毎年数値が変わるため
- 大手出版社から出版されていること
- 辞書的に使いやすく、網羅性の高いもの
私は問題集と同じ出版社のテキストを使用しました。見開きの見やすさなどを重視して好みで選びました。 問題集とは違う出版社のテキストを選ぶと、辞書を引くようにテキストを参照するので、勉強になるかもしれません。
実技試験対策には過去問を活用する
実技試験は毎回出題されるパターンがあるため、過去問の活用しました。 問題集にはFP協会向けの実技試験対策問題の掲載が少なかったため、過去問を過去5回分ほど解きました。 計算問題が多いので、時間内で解けるようにパターンをつかんでおきます。
過去問はFP協会の公式WEBページにアップされているものを活用しました。 解説はどこのサイトも充実しているのですが、2級FP過去問解説を参考にしていました。
おすすめ講義動画
最もよく視聴した講義動画は、FP界隈では定番のほんださんのチャンネルです。
ほんださん / 東大式FPチャンネル
3級レベルであれば、各分野の爆速講義を視聴し過去問を過去2回分ほど解くと合格ラインに乗れると思います。 必要な知識がギュッとコンパクトにまとめられていてFP入門にはぴったりです。
2級となるとさすがに難しい論点が増えたので、ポイント解説の動画を見直しました。 特に「テーマ別解説」の講義動画が素晴らしく、社会保障分野の細かい論点など、ほんださんの動画がなければ挫折して諦めていたことでしょう。 これだけ質の高い動画をYou Tubeでアップしていただけることに感謝です。
※1級受験生向けのテーマ集ですが、範囲外の部分は除外すれば使えます。
FPの試験対策という観点であれば、ほんださんのチャンネル一択で済んでしまいます。 問題は関心の薄い分野に出会った時、どのように興味の幅を広げるかという点です。 社会保障の分野、相続の分野などは、日常での経験がないと身近に感じることができません。 イメージが沸かないとテキストや問題を見ても、理解しようという意欲が湧いてこないでのです。
この問題を解決するために、私はFP対策以外の、特に税理士の方のチャンネルを参考にしました。
「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」で有名な山田先生のチャンネル。 インボイス制度、e-taxを使った確定申告、新NISAなど、速報性高くわかりやすく解説いただいています。 このチャンネルを通じて、身近な税金の話題に興味を持つようになり、金融資産運用、タックス分野の対策にもなりました。
相続対策の書籍も書かれている橘先生の相続贈与に特化したチャンネル。 この分野は実生活で直面することがないとイメージしにくいですが、You Tubeの図解がとてもわかりやすいです。 相続贈与に関しては、自身の家族構成にも当てはめながら、法制度など理解を進めていく必要があるなと感じました。
タザキさんの金融本解説チャンネル。 税理士ではなくサラリーマンYouTuberとのことですが、聴くだけで勉強になります。 基本的には投資に関する本の解説ですが、金利に関する本の解説などを通じてマーケットに対する理解が深まりました。
おすすめ本
最も興味を持てなかった分野が「保険分野」でした。 この分野に少しでも興味を持つため、手にとったのが以下の書籍でした。
いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」 (講談社+α新書) (後田亨, 永田宏)
年金、タックス、相続贈与に関しては、漫画が掲載されてい実用書を活用しました。 日常生活でのイメージが沸かない場合に漫画は理解を手助けしてくれます。 ナツメ舎から出版されている『いちばん親切な〜』シリーズがよかったです。 申請書類のフォーマットなども掲載されており、実務でも使えると思います。
FP2級を勉強してよかったこと
昨年6月に簿記2級を取得し、財務会計に関しては理解が深まりました。 一方で、社会保障、税金、ファイナンス分野に関しては専門用語が分からず戸惑うケースも多くありました。 私は中小企業の経営に携わっているため税理士の先生とお話する機会もあるのですが、自身に税金の知識がなければ、質問できる内容が限られてしまいます。 この点、最低限の専門知識を持ってお話ができるよう、基礎教養を身につけておく必要性を感じていました。
約半年間勉強してみて、FP試験は教養として勉強するだけでも満足度の高い資格だと感じました。 学習してよかったことは下記の通りです。
- 社会保障、相続贈与といった疎遠だった分野について学ぶことができた
- 不動産分野は苦手であると知ることができた
- 経済ニュースを多角的な視点で読めるようになった
疎遠だった社会保障、相続贈与分野について学べた
社会保障、特に年金分野については、国民皆保険であるにも関わらず、学校教育で社会人経験を通じて体系的に学べる機会がほとんどありません。老齢年金などについては、受給が差し迫ってはじめて興味が生まれる分野であり、20代、30代で年金について興味を持つという方が難しいのではと考えます。
FPを勉強するメリットのひとつは、間違いなくこの社会保障分野を学ぶことにあると考えます。 なぜなら、日本という国の社会保障を知ることで、自分や家族に必要な民間保険などについても知ることができるからです。 日常のリスク管理という点で、何に対して保険をかけるかを考えておく必要があります。 最初にすることは保険会社のプランを見るのではなく、まずはどんな社会保障があるのかを知ることが先なのです。
老齢年金だけではなく、障害年金、遺族年金などの年金制度についても知っておくこと。 また医療保険、雇用保険の制度について知ることで、大部分の終身保険や個人年金が不要であることに気づくことができました。
また相続贈与について、民法などで決められていることを学習できたことも大きかったです。 家族の相続贈与を考えるということは、親族ひとりひとりと向き合うということにもつながります。 長い人生の中で将来直面する課題について、その対処法を学ぶという点では勉強になりました。
不動産分野は苦手であると知る
私の場合、不動産分野が苦手であるということがよくわかりました。 実際、学科の自己採点では4/10点程度の正答率で、最後まで苦戦しました。 一方で金融資産運用の分野は最初から戸惑うことが少なく、本試験でもあまり苦労せず問題が解けました。
何らかの投資を行う際に、不動産投資(賃貸業、マンション経営、DIYリフォーム業など)が、自分には向かないんだなということがよくわかりました。 不動産に関しては、借地借家法や建築基準法と行った法制度について学ぶ必要もあるため、このあたりがスムーズに学べるかで理解度が変わるように感じました。
経済ニュースを多角的な視点で読めるようになった
税制改正は国の施策の大きな節目になります。 先日も2024年から始まる新NISAの大枠が明らかになったことで盛り上がりました。 こういった日々の経済ニュースがあったときに、単に自分にとってのメリット/デメリットを考えるだけでなく、どういった目的があって制度導入しているのか、どういった層に対してアプローチしたいのかなど、多角的な視点でニュースを見れるようになりました。 特に日経新聞など金融や資産運用などをテーマにしたメディアを読む際には、FPで学ぶ知識は役に立つと感じました。
約半年間の勉強を通じて、活用した参考書や講義動画、受験した雑感などをまとめてみました。
ファイナンシャル・プランナーは、2級までであれば合格に向けた優秀なコンテンツが出揃っており、独学で十分に学習可能です。 個人的には簿記2級と比較して難易度が多少容易なレベルかなと感じました。 (暗記が得意であればFP、計算が得意であれば簿記の方が向いているなど特性による差はありそうですが)
これから受験を考えている方の何かの参考になればうれしいです。
以上、長文お読みいただきありがとうございました。
2023/01/29