日々、AIチャットボットと対話していると、ふと「この話題、以前にも尋ねたことがあるな」と思うことがある。しかし、いつ、どのAIに尋ねたのか記憶が曖昧で、結局は同じ質問を繰り返してしまうことも少なくない。 そこで以下のような方法を試してみると、過去の対話履歴を参照してもらいつつチャットを再開できることに気づいた。簡単な方法なのですでに試している人もいると思うが、備忘録を兼ねて紹介したい。
過去の会話を記録として取り込む
AIに過去の会話を思い出してもらう方法は意外にも簡単である。それは、ローカルに保存しておいたマークダウンファイルをAIチャットにアップロードし、その内容を踏まえて会話を始めるというものだ。
この方法を使えば、AIは過去の会話内容を「記憶」として取り込み、その文脈を踏まえた応答をしてくれるようになる。まるで久しぶりに会った友人との会話のように、以前の話題を引き継いで対話を深めることができるのである。
具体的な方法
- チャット内容をマークダウンファイルでローカル保存する
- AIチャットを開く
- マークダウンファイルをアップロードして会話を始める
AIとの対話を記録し再利用するための具体的な方法は、上記の3つのステップに集約される。まず第一に、AIとの会話内容をマークダウンファイルとしてローカルフォルダに保存することから始める。これが「AIの記憶」となる重要な資料である。
保存方法としては、AIサービスが提供する標準エクスポート機能を利用するか、「Save my Chatbot」というChrome拡張機能を使うのがおすすめだ。この拡張機能は、Claude、Perplexity、Phind、ChatGPTなど様々なAIチャットの会話を構造化されたマークダウンファイルとして自動的にダウンロードしてくれる。
Save my Chatbot - AI Conversation Exporter chromewebstore.google.com
保存したファイルは「日付_タイトル.md」といった形式で名前を統一しておくと、後から探しやすくなる。例えば「2025_03_21_ブログ再開に向けて..md」のようにすると、内容が一目でわかるのである。また保存したマークダウンファイルは、お好みのエディタで閲覧・編集できる。特にObsidianのようなナレッジベースアプリを使うと、後々の検索にも便利だ。
新たに会話を始めたい時は、使用したいAIチャットサービスを開き、チャット画面でマークダウンファイルをアップロードする。そして「この会話の続きを始めたい」といった指示を加えれば、AIは過去の文脈を踏まえた応答をしてくれるようになる。画像のように、アップロードされたファイルを参照しながら、AIが過去の会話を思い出し、対話を継続することができるのだ。
注意点
ローカル保存の重要性
会話内容はクラウドではなく、ローカルフォルダに保存することが重要である。以前はNotionに保存していたが、クラウドに依存していると、必要な時にマークダウンとして利用できないことがある。ローカル保存なら、いつでも自由にファイルを活用できるのだ。
チャット履歴を集約する
またローカル保存してひとつの保管庫にチャットを集約しておくことは、AIサービスを分散させない点でも役立つ。私はできるだけひとつのサービスに集約させているが、多様なサービスを駆使している人であれば、あれはChatGPTだったか、あれはGeminiだったかなどと思い出す必要もなくなる。この方法により、AIとの対話履歴を一元管理でき、過去の会話を効率的に参照することができる。さらに、「同じ内容を別のAIに聞いてみよう」といった知識の連携や比較も容易になる。
なぜマークダウンファイルなのか
マークアップ言語はAIの可読性が高く、特にマークダウンは軽量で扱いやすいという利点がある。HTMLファイルでも代用可能だが、読みにくく、編集もしづらい。ファイルサイズも大きくなりがちである。
画像の扱い
会話中に参照した画像については、マークダウンファイルにリンクとして含まれることがあるが、実際に利用する際は別途チャットにアップロードした方が確実である。
おわりに
この方法を活用すれば、1年ぶりに再会した友人と話すように、AIとの対話を続けることができる。「そういえば、前はこんな話をしていたよね」と過去の文脈を踏まえた会話を始められるのは、とても自然で心地よい体験だ。
人との会話が一期一会であるように、AIとの対話も前回と全く同じように再現するのは難しい。その時々によって質問者の熱量も違うし、回答の内容も違ってくる。過去の対話をクリップしておくことは、アイデアの蓄積にもつながる。
過去の対話を参照しながらチャットを始めたいときは、ぜひ一度この方法を試してみてほしい。